適度な改行・空行
俺は猫だ。雑種だ。そして飼い猫だ。雑種の飼い猫というのは楽な立場ではない。野良猫からは人間の従者に成り下がり猫の誇りを捨てたやつと罵られ、純潔種からは野蛮猫の血が流れていると陰口を叩かれる。ようするに「負け猫」なのだ。だが俺は負けたとは思っていない。扱い方を覚えれば人間というのも悪くない。適当に愛想していれば飯もよこすし寝床も渡す。人生で勝つには賢くならなければならないのだ。それにものは考えようだ。俺は人間にすがっているのではない。人間が貢物を用意して俺に一緒に暮らしてくださいと言っているのだ。俺は雑種飼い猫という、生まれながらに不利な条件を背負っていたが、実力で地域のボスにまで成り上がった。飼い猫のボスは前例がなく、俺は連中の期待の星だ。要するにすごい男なのだ。俺は緑眼の黒猫で、自慢ではないが近所でも男前で通っている。体も大きく、ケンカで負けたことはほとんどない。強くて格好いい。こんな順風満帆に見える俺にも、悩みの種があった。近所のある野良猫だ。マリーと名乗っているらしい。その名のとおり、女だ。人間で言うなら三十代後半といったところだろうか。女にしては大きいが太ってはいない。白猫のゴールデンアイで、野良猫の割には小奇麗だ。
○ 俺は猫だ。雑種だ。そして飼い猫だ。雑種の飼い猫というのは楽な立場ではない。野良猫からは人間の従者に成り下がり猫の誇りを捨てたやつと罵られ、純潔種からは野蛮猫の血が流れていると陰口を叩かれる。 それから、ネット上で公開する小説は、より頻繁に改行や空行を入れたほうがよいみたいです。 私はと言えば、どうしても違和感があって、サイトに載せている小説でも紙面と同じように空行をいれずに書いています。 |