・例
△
ぽかぽかの春、ルドルフはテクテクと道を散歩していた。
ルドッルド〜♪
鼻歌交じりでとても機嫌がよいと見える。
すると――
ドシッ、ドシッ……。
道の向こうから大きなトラねこが歩いてきた。
ドカッ!
すれ違いざま、ルドルフとトラの肩がぶつかった。
「あ、ごめん」
「ごめんじゃねーッ」
ドゴォッ!
ペコリと謝るルドルフのほっぺたに、トラねこの豪腕が飛び込んできた。
ヒュー、ボチャリ。
ルドルフは吹っ飛び、道の脇に流れるドブ川に落ちてしまった。
◎
うららかな午後だった。ルドルフの毛皮を春の日差しが温める。自然と、散歩する足取りも軽くなった。自作の鼻歌まで漏れる。
すると、道の向こうから大きなトラねこが歩いてきた。まだ距離が空いているにも関わらず、彼が一足踏み出すごとに地面が揺れた。地響きにも似た音を立てながら近づいてくる。
すれ違いざま、ルドルフとトラねこの肩がぶつかった。ルドルフの体に強い衝撃が走る。ルドルフは咄嗟に謝った。
「あ、ごめん」
「ごめんじゃねーッ」
トラねこの太い腕が振り上げられ、拳がルドルフの頬にめり込んだ。巨大な破裂音が道の端から端まで響いたが、聴覚の麻痺したルドルフにそのことはわからなかった。
ルドルフの体は宙高くまで舞い上がり、放物線を描きながら道脇のドブ川に落ちていった。水を叩く音と共に、泥が大きくはねた。
こんなふざけた文章でも、上よりは下のほうが小説っぽい感じがしません!?
ようは第一印象の問題なのです。第一印象でいかに小説っぽく見せられるかが大切なのです。
人間は外見ではないといいつつ、外見で判断するのが人間です。
ですから、漫画ならば有効なオノマトペも、小説ではあまり使わないほうが賢明です。
けれど私は、絵本や児童文学とかの、オノマトペを多用した「あの雰囲気」も大好きなので、まったく使うなとは思いません。
これも臨機応変に、オノマトペがしっくりくると思えば、迷わず使っちゃえばよいと思います。